【新卒:業界研究】小売業界の特徴と動向について|仕事の魅力から課題まで一挙解説
卸売・小売
CONTENTS
小売業界とは
小売業界の基本的なビジネスモデル
小売業界の主な仕事内容
仕入れ・物流・在庫管理
販売・店舗運営
企画・販売促進
小売業界におけるトップ企業ランキング
①イオン
②セブン&アイ・ホールディングス
③ファーストリテイリング
④ヤマダホールディングス
⑤パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
小売業界の動向について
小売業界の現状と課題
小売業界における今後の将来性は?
まとめ
モノを消費者に届ける小売業界。「小売業界」と改めて聞くと難しく感じてしまいますが、常に私たちの生活に密接している業界の一つです。
この記事では、小売業界の特徴と動向についてまとめました。人々の生活に、小売業はどのようにかかわっているのか。さまざまなモノが生み出されるなかで、これからの小売業はどのように変わっていくのか。業界の特徴をとらえながらじっくり見ていきましょう!
・そもそも「小売」についてよくわかっていない
・小売業界でのトップ企業についてまとめて知りたい
・小売業界ではどんな仕事があるのか調べたい
・今後の動向について簡単に知りたい
小売業界とは
小売業界は、消費者に商品(モノ)を届ける役割を担います。デパートやスーパーマーケット、コンビニエンスストア、アパレルなど、ジャンルは多岐にわたります。小売業は、リテール(retail)とも呼ばれます。
小売業の歴史は非常に長いです。今日においてはモノが十分に普及し、サービスは多様化しました。しかし、それらのサービスが生み出される前から、人々の消費活動の基本として在り続けたのが小売業です。
2018年のデータによると、小売業界の規模は大きく、卸売・電気機器・自動車・金融業界に次いで5番目となっています。市場規模は約61億円にまでのぼります。(業界動向サーチより)
消費者と直接的なかかわりを持ち、社会の動きを体感しやすいのが魅力の業界です。
小売業界の基本的なビジネスモデル
商品が消費者に届けられるまでには、大きく4つの段階があります。
- ① メーカーが商品を生産する
- ② 卸売業者によって、メーカーから商品が買い取られる
- ③ 小売業者によって、卸売業者から商品が買い取られる
- ④ 消費者によって、小売業者から商品が買い取られる
小売業者の役割は上記の③④、主に「卸売業者から商品を買う」「消費者に商品を売る」の2つです。卸売業はホールセールとも呼ばれ、この場合は総合商社や専門商社がそれにあたります。
小売業者は、卸売業者から仕入れるときの仕入れ値をもとに、消費者に商品を売る価格(売値)を決めます。メーカーによって定価が定められていることもあります。この売値と仕入れ値の差額が、小売業者の利益となります。
近年は小売業者が商品の企画から生産、販売まで、流通の一連の流れを担うこともあります。その仕組みによって生み出されたのが、ファストファッションやプライベートブランドです。それらは、流通にかかるコストを抑えることで、低価格を実現しています。
小売業界の主な仕事内容
では、小売業界の主な仕事内容にはどのようなものがあるのでしょうか。具体的な仕事をみていきましょう!身近なコンビニやスーパーを想像してみてください。
仕入れ・物流・在庫管理
店舗で販売する商品を仕入れる、いわゆるバイヤーの仕事です。ここでの「仕入れ」は店舗への仕入れというよりも、店舗に商品を届ける前に在庫を確保しておくイメージです。
メーカーや卸売業者と連携をとり、消費者へ商品が十分に供給できるよう在庫を管理します。小売業者の規模によっては、店舗社員がバイヤーの役割を兼ねることもあります。
在庫不足・過多とならないよう、数字を扱うのが得意な人に向いているでしょう。仕入れ先との交渉も欠かせませんので、コミュニケーション能力も大切です。
販売・店舗運営
店舗での仕事は、小売業の特徴的な仕事ともいえます。仕事内容としては、お客様への商品販売や、店内商品の在庫管理、店舗単位での企画の運営などがあります。
店長や、複数の店舗を統括するエリア部長といった役職もあります。小売業界では、入社後は自社の店舗で仕事をし、店長経験を積みながらキャリアアップを目指す例も多いです。現場の声を本部に届けるために、エリアや本部の会議に参加することもあります。
接客が得意な人はもちろん、本部・現場とかかわりながら視野を広げたい人にもおすすめです。
企画・販売促進
市場の動向をもとに消費者ニーズをとらえ、次に販売する商品を決めます。マーケティングは量的なものだけでなく、各店舗からのヒアリングといった質的データも参考にしながら分析を行います。新たな商品をどのように売り出すか、キャンペーンの詳細なども考えます。自社で生産を担っている場合は、ここでの企画をもとに商品開発を行います。
企画を円滑に運営するため、各店舗への伝達業務も欠かせません。店舗との連携が重要です。新しい物事に興味のある人、トレンドに敏感な人に向いています。
小売業界におけるトップ企業ランキング
小売業界のトップ企業を売上のランキングごとに並べ、それぞれの事業の特徴をご紹介します。気になった企業があれば、より詳しく企業研究を行ってみましょう。
①イオン
従業員数〈連結〉:約580,000名
営業収益:8兆6,042億円(2020年2月期)
イオングループは、ショッピングモール「イオンモール」、スーパーマーケット「マックスバリュ」といった店舗の経営から、プライベートブランド「トップバリュ」の商品開発や、「イオンカード」や「WAON」等の金融事業まで、幅広い事業を手がけています。店舗数は、計19,094店舗にものぼります。「お客さま第一」を基本理念とし、さまざまな事業に取り組んでいることが特徴です。今後は、IT・デジタル・物流分野に力を入れていくとしています。
参考:「イオン株式会社グループ採用情報」https://recruit.aeon.info/
②セブン&アイ・ホールディングス
従業員数〈連結〉:138,808名(2020年2月末現在)
営業収益:6兆6,444億円(2020年2月期)
全国に20,000店舗以上を展開するセブンイレブンをはじめとして、スーパーストア「イトーヨーカ堂」や「ヨークベニマル」等、小売業を中心とした事業展開を行なっています。電子マネー「nanaco」やECサイト「オムニ7」といったデジタル関連の事業にも積極的に取り組んでいます。さまざまな事業のなかでも、食分野に力を入れていることが特徴です。
参考:「採用情報 | セブン&アイ・ホールディングス」https://www.7andi.com/recruit.html
③ファーストリテイリング
従業員数〈連結〉:57,727名(2020年8月末現在)
売上収益:2兆0,088億円(2020年8月期)
複数のブランドを展開するファーストリテイリングは、日本を代表するグローバル企業の一つです。なかでもユニクロは、22の国と地域に約2,200店舗出店しています。素材調達から販売までの全てを自社で行い、独自の商品を生み出しています。「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と尊重)」を推進し、今後はさらに持続可能な社会を目指して事業に取り組んでいくとしています。
参考:「ファーストリテイリンググループ採用情報」https://www.fastretailing.com/employment/ja/
④ヤマダホールディングス
社員数〈連結〉:19,985名(2020年3月末現在)
売上高:1兆6,115億円(2020年3月期)
ヤマダ電機をはじめとして、主に家電や家具、住宅に関する事業を展開しています。「創造と挑戦」を理念に掲げ、近年は製造小売にも取り組んでいます。2020年にはデザイン家具シリーズ「SERIE NOIR」が誕生しました。今後は5Gやテレワークの関連機器を中心として、快適な暮らしを提供するとしています。
参考:「採用情報 -YAMADA HOLDINGS-」https://www.yamada-holdings.jp/recruit/
⑤パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
従業員数〈連結〉:13,546名(2019年6月末現在)
売上高:1兆6,819億円(2020年6月期)
ディスカウントストアや総合スーパーを展開しています。なかでも、全国に400店舗以上を展開する「ドン・キホーテ」は、「コンビニエンス+ディスカウント+アミューズメント」をコンセプトとした珍しいスタイルが特徴です。近年は海外リテール事業にも取り組み、米国ハワイ州や東南アジアの国々に店舗を展開しています。
参考:「PPIH」https://ppih.co.jp/
小売業界の動向について
経済産業省によると、コロナ禍で小売業の動向にも変化が出ています。2020年上半期の店舗あたりの販売額は、前年と比較して総合スーパーは増加、百貨店とコンビニエンスストアは減少となりました。また、家電大型専門店、ドラッグストア、ホームセンターも前年比プラスとなっています。
今後も新型コロナウイルスの感染状況によって動向が変化する可能性があります。小売業界を目指す人は、常にニュースに目を通しておきましょう!
小売業界の現状と課題
現在、小売業を手がける企業は、実地店舗での商品販売を中心としています。しかし、ネットショッピングが浸透した今、実地の店舗で買い物をする機会は減っています。いつでもどこでも必要なモノが手に入る時代に、消費者に商品を買ってもらうためには新たな取り組みが必要です。小売業界では近年、自社ECサイトの開発・運営や、「お店に行きたい!」と思わせるような体験価値創出の試みがなされています。
また、コロナ禍ではインバウンド消費が減少しました。これまで訪日外国人をターゲットとしていた企業は、今後の状況が予測できない状況のなかで、新たなビジネスモデルを生み出さなければなりません。
さらに、大量生産の技術はモノの廃棄を増大させ、環境問題にも影響を与えています。SDGsなどの取り組みがなされていくなかで、より持続的な社会を目指すために、モノの在り方も再考する必要があります。資源物の再利用や製造方法の変更など、モノの生み出し方を見直す動きが出てきています。
小売業界における今後の将来性は?
近年は、モノ自体の価値以上に、モノに付随する付加価値が重視されています。いわゆる「コト消費」「トキ消費」です。モノは使用目的だけでなく、消費者の気持ちをも満たすものでなければ、なかなか売れない時代になりました。価格競争も激しいなかで、消費者の心を掴むのは非常に難しくなっています。
そのような時代で近年注目されているのが、オフラインとオンラインを融合させた「OMO(Online Merges with Offline)」です。例えば米国Amazonは、同じく米国のスーパーWhole Foodsを買収し、新たな実地店舗「Amazon Fresh」をオープンしました。Whole Foodsは、現地で有名な高級志向のスーパーです。
「速さ」に重きをおくAmazonと、「質」に重きをおくWhole Foodsがテクノロジーによって融合され、消費者は「速さ」と「質」の両方を満たす消費活動ができるようになりました。今後もこのようなオンラインとオフラインの融合は増え、消費活動の形も変化していくでしょう。
まとめ
小売業界の特徴・動向についてまとめました。私たちの生活とともに変化し続ける、将来性のある業界の一つです。業界の特徴として、以下の3点を確実に押さえておきましょう!
・小売業の役割は、「消費者にモノを売る」
・自社で商品の開発・製造から販売まで、一連のプロセスをまかなう企業も増えている
・今後は消費者がモノを買うときの体験価値に注目する必要がある
「小売」は歴史が長く、人々の日常生活の要として機能してきました。こういった長らく大きなイノベーションが起きていない業界こそ次のビジネスをつくる好機となります。テクノロジーを用いた将来的な動向を見据えながらしっかりと業界研究を行っていきましょう。
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