就活で知っておきたい建設業界の特徴と適性について
建設
CONTENTS
建設業界の特徴と構造
①連携力の高さ
②幾層もの下請け構造
ゼネコンとは
サブコンとは
建設業界での主な職種
①営業
②施工管理
③設計
④設備関係
⑤研究開発
建設業界の動向
ハウスメーカーの台頭
首都圏の再開発・オリンピック着工
人材不足と外国人労働者の増加
建設業界に向いている人は?
まとめ
今回は建設業を就活という観点からご紹介したいと思います。
建築物として自分の成果や努力が目に見えるこの業界はやりがいが大きいです。そのため就活で志望する人も多いでしょうが、企業ごとで業務内容がかなり異なるため業界の構造やメリット・デメリットをしっかりと理解することが大切でしょう。
就活をはじめたばかりの人にも分かりやすいよう、できるだけ簡潔にまとめますのでぜひ業界選びの参考にしてみてくださいね。
建設業界の特徴と構造
①連携力の高さ
建設業は何段階にも企業が関わってひとつの建築物を完成させます。
- ・「総合工事業」:主に元請として建設・土木作業を取りまとめる。
- ・「職別工事業」:現場作業を行う、大工、内装工事などがある。
- ・「設備工事業」:水道・電気などの設備に関する工事を請け負う。
それぞれ専門や強みとしているものがあり、連携して仕事をする必要があります。世の中に業界はたくさんありますが、その中でも建設業は特に他社との協力が必要不可欠です。
②幾層もの下請け構造
発注者
↓
元請(ゼネコン)
↓
下請け(サブコン大手)
↓
下請け(技能工がいる中小企業
↓
建築物が完成!
連携とは主に上記のような下請け構造のことです。総合的に作業を取り仕切るゼネコンから職人が現場で作業を行うサブコンまで、発注者が見えないところでも多くの人が作業に関わっています。
下請けが何層にもなることで、中小企業への負担が問題になることもしばしばですが、建設業界が下請け構造を利用するのにはある理由があります。建設業界では受注が増える時期(たとえば東京オリンピック前など)とそうでない時期が顕著です。忙しいときには人手が必要ですが、だからといって簡単に人を雇うことはできません。正社員はむやみに解雇できないため閑散期に人件費が余分な支出になってしまいます。そこで最低限の人数を社員として雇い、現場の作業などは案件ごとに外注業者に任せる方が効率が良いのです。
ゼネコンとは
総合工事業を行う企業のことで、General Contractorの略称です。サブコンと発注者をつなげる役割をしたり、作業をマネジメントすることで工事を完遂させ、報酬を得ます。そしてゼネコンの中でも、特に規模が大きくて技術力が優れている企業のことを「スーパーゼネコン」と呼び、国内では5社が「スーパーゼネコン」として認知されています。
(参考:スーパーゼネコン5社について)
①大林組
関西発で業界最大手のスーパーゼネコン、代表的な建造物としては、東京駅、大阪城や、東京スカイツリー、六本木ヒルズがあります。それらの実績から「技術の大林」とも呼ばれ、現在手がけている大きなプロジェクトの一つに2050年完成想定の宇宙エレベーター建設構想などがあります。また社員・作業員の労働環境に関する取り組みも行っています。
②鹿島
東北発のスーパーゼネコンで、土木関連、超高層ビル事業に強みを持ちます。代表的な実績としては姫路城大天守の保存修理工事、東京駅丸の内駅舎保存・復原工事、恵比寿ガーデンプレイスがあります。土木に強みを持つためインフラ系の実績も多く、第二浜田ダムなどを手がけました。
③清水建設
首都圏中心で民間建築に実績と歴史を持ちます。清水建設の代表的な実績には東急プラザ銀座、小浜名マリンブリッジ、東京大学の総合図書館別館など国内の実績だけではなく、アジア・アフリカ・北アメリカ・ヨーロッパなどにも事業所を展開しています。
④大成建設
建築を主軸として海外再構築を図っています。実績として、国内では京都鉄道博物館、東京国際フォーラム棟、大阪城ホール、ららぽーと海老名などがあり、海外ではスロバキア高速道路、クアルランプール国際空港、ボスポラス海峡横断鉄道トンネルなどがあります。
⑤竹中工務店
創業が1610年とかなり長い歴史を持つスーパーゼネコンで、スーパーゼネコンの中で唯一関西を地盤とする建築会社です。通天閣の改修工事、あべのハルカスといった関西圏の建造物や、東京タワー、日本武道館、野口英世記念館、金沢21世紀美術館など日本各地の有名施設も手掛けてます。施工した物件を「作品」と称し、スーパーゼネコン5社の中でBCS賞(建築業協会賞)を最多受賞しています。
サブコンとは
基本的にゼネコンの下請として土木・建築工事を担います。Sub-Contractorの略称で企業ごとに専門分野が分かれ、職別工事業や設備工事業があります。規模の大きい企業もあれば、地域に根差した中小企業まで事業規模はさまざまです。
建設業界での主な職種
はじめて建設業界を見る人にもわかりやすいよう、主な職種と求められる能力について簡単に説明していきます。
①営業
発注者と工事業者をつなぐ窓口となります。発注者から要望を受け、社内の各部門とやり取りをして提案書・企画書をまとめていきます。土木や建築の専門知識は比較的問われないことが多いです。
→必要な能力:コミュニケーション能力
顧客と企業をつなぐ立場であるため、コミュニケーション能力が必要です。また、的確に顧客の要望を汲み取るという点ではヒアリング能力が求められます。顧客が満足出来る良いものを完成させることで次の発注にもつながります。複数方面と連携を取るのはなかなか難しいことなのですが、営業職ならではのやりがいとも言えます。
②施工管理
施工計画や、現場・品質などの管理を担うのが施工管理の仕事です。納期を守って作業をしたり、複数の人をまとめるなど、責任のある立場として仕事ができます。
→必要な能力:状況把握能力・責任感
状況を素早く把握し、なぜそのような状況になっているのか、どうすれば改善されるのかを考えてまとめていく必要があります。自分が管理を怠れば、計画は順調には進みません。そのため自分の責任を果たそうという考え方が備わっている必要があります。
③設計
発注者の要望に沿うようなデザインや利便性を叶えつつ設計していきます。自分で手がけた設計が多くの人と関わりながら形になっていくのが魅力です。この職に就くには建築士などの資格が必要です。
→必要な能力:専門知識・スキル・思考実現力
デザインや建造物設計といった専門性はもちろんですが、顧客の要望やコンセプト、利便性などを考え、実際に実現していく力があってこそ素晴らしい成果を出せる仕事です。
④設備関係
建造物の電気やエレベーターといった設備の配置などを考え、完成した建造物をいかに使いやすく価値あるものにできるかを目指す立場と言えます。こちらも資格や専門知識が求められ、専門性を高めていける仕事です。
→必要な能力:専門知識・スキル・想像力
この仕事はいかに使いやすく快適な建築物をつくれるかを追求することが必要です。利用者の気持ちや行動を理解し、適切な設備配置を考えるには想像力が求められます。
⑤研究開発
より良い建造物、より良い空間をつくりだすため、工事における工法や資材の研究・開発を行います。特に専門性が求められる仕事で、各社とも強みとなる独自技術の研究開発には余念がありません。
→必要な能力:専門知識・集中力・忍耐力・興味
実験には時間も体力もかかり、かなりの忍耐力や集中力が求められる仕事です。また、その研究領域に興味を持てるかどうかも大切なことです。興味を持っていればより良いものを自然と求めたくなり、結果として良い研究開発ができます。
建設業界の動向
ハウスメーカーの台頭
ここ10年でハウスメーカーが大手ゼネコンをしのぐ勢いを持つようになっています。大和ハウス工業や積水ハウスなどの住宅業界がゼネコンに資本参加・統合といった形でゼネコンを傘下に収め、建設業界は大きな変化を迎えていると言えるでしょう。
ハウスメーカーは非住宅建設という新規分野があること、住関連サービスなどで安定的収益が見込めること、建材などの標準化が可能であることが強みです。このハウスメーカーの台頭はゼネコンにとって悪いことばかりではなく、連携して両者の良さを活かした大型商業施設を建設するなど、共に生き残るための計画がすでに始まっています。
首都圏の再開発・オリンピック着工
都市再開発や東京オリンピックによって、首都圏は建築ラッシュが起こっています。オリンピックが終わる2020年以降も、公共事業投資や再開発でビルや商業施設などの受注が続き、しばらくのあいだ需要は堅調だと言えます。
人材不足と外国人労働者の増加
少子化による人手不足は建築業界でも問題になっています。特に中小企業の人手不足は深刻で、このままでは下請け企業の存続が危うくなるかもしれません。建設業界における外国人労働者の増加率(H23~28)は220%にもなり、技能実習生はベトナム・中国・フィリピンの参加国が上位に入っています。
参考:「外国人建設就労者受入事業の運用状況について 」https://www.mlit.go.jp/common/001203074.pdf
建設業界に向いている人は?
職種ごとに必要な能力は上の「主な職種」の項目で紹介しました。それ以外にも建設業界全体で必要とされる適性があります。
・体力
現場で働く場合、気温や天候の影響を直に受けます。技能工でなくとも下見で外に出る機会はあるでしょう。外で動き慣れていない人や、暑さ寒さに極端に弱い人は体を壊してしまうかもしれません。
・ストレス耐性
建設業界経験者が語る大変さとして、ストレスやプレッシャーが大きいことが挙げられます。顧客との契約である納期は絶対に守らなくてはいけません。そのため間に合わなそうだとなれば残業をしたり、精神的に追い詰められたりと辛い思いをすることがあります。それに耐えることができれば、完成後に大きなやりがいを感じることができるでしょう。
まとめ
ここまで建設業界について、基本的に知っておくべきことをまとめてみました。ちょっと自分の関心とは違うと思えば他の業界を見れば良いですし、面白そうだと感じたなら、この情報をベースに企業ごとの特徴などさらに細かい部分に注目して調べてみると良いでしょう。実際に個別の企業説明会に参加してみることもおすすめします。本文でも書いたように近年変化している業界なので、常に新しい情報をキャッチする姿勢が大切です。
企業分析・業界分析の方法は以下の関連記事も参考にしてみてくださいね。
就活でしない人はいない!面接につながる業界研究の仕方・まとめ方
また、業界について調べるだけでなく、次の段階として「その仕事が自分に向いているか」も考える必要があります。自己分析と業界分析を両方行い、照らし合わせるやり方が一般的な判断方法ですが、全部一人でやるのは不安だという人もいるかもしれません。その場合は誰かに手伝ってもらうのも悪いことではありません。
自分では気が付かない長所を発見してもらえる可能性がありますし、就活や業界に詳しい人であればより正確な適性判断が行えます。手伝ってもらう相手は友達や先輩、就活エージェントが主になるでしょう。もちろん私たちJobSpringでも適性判断のサポートを行っています。
JobSpringの特徴は自己分析→適性判断→企業マッチングや選考対策など就活に必要な作業を一貫してサポートしている点です。「建設業界に興味があるけど自分に合っているか分からない」、「もっとぴったりな企業を探したい」といった皆さん一人ひとりのお悩みに寄り添い、一緒に解決していきます!
就活では自分一人で悩みすぎず、上手に周囲の助けをもらうことが大切だと筆者は思っています。困ったことがあればいつでも相談にきてくださいね。無料面談でお待ちしています!
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