【就活:業界研究】クレジットカード業界の課題と動向について解説!
金融
CONTENTS
クレジットカード業界の現状
日本のクレジットカード決済比率は年々増加
スマホでの電子決済が充実
クレジットカード業界の課題
まだまだ日本のキャッシュレス比率は低い
カードの不正利用
クレジットカード業界の今後の展望
クレジットカード発行枚数の増加
ビッグデータによるデータビジネスの展開
東南アジアへの進出
まとめ
効率的かつ便利なものとして、クレジットカードの利用が年々増加してきています。今回の記事ではクレジットカード業界の現状と課題、さらには今後の見通しについて紹介いたします!
クレジットカード業界の特徴や仕事内容など、業界研究全般の情報を知りたい方は以下の関連ページをチェックしてみてください!
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クレジットカード業界の現状
ネットショッピングが普及する中クレジットカードの利用者は増えているように思えますが、クレジットカード業界の動向はどのようになっているのでしょうか。ここでは詳しく現状を探っていきます。
日本のクレジットカード決済比率は年々増加
日本のキャッシュレスでの決済利用は昔と比べ大幅に増加しています。2019年4月に発表された一般社団法人キャッシュレス推進協議会の報告書『キャッシュレス・ロードマップ 2019』によると、日本のキャッシュレス決済比率は2008年から2017年にかけて、以下のように増加の一途を辿っているのがわかるでしょう。
株式会社MM総研の調べによると、2018年度のキャッシュレス決済規模はなんと65兆3,720億円。さらにそのうちの77.3%がクレジットカードの利用によるものなのです。また2019年度以降のキャッシュレス市場規模の予測においては年々増加することが想定され、2025年度にはおよそ112兆円の規模まで膨れ上がると言われています。
これだけキャッシュレス市場が拡大するのはなぜなのでしょうか。背景を探ると「EC利用の増加」と「政府の支援」という2つの視点が見えてきました。
一般社団法人キャッシュレス推進協議会『キャッシュレス・ロードマップ 2019』:
https://www.paymentsjapan.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/04/Cashless_Roadmap_2019.pdf
EC利用の増加
そもそもECとはElectronic Commerceの略で「電子商取引」と訳されます。インターネットを介したモノ・サービスの取引全般を指す言葉で、近年急激な成長を見せている分野です。
このECの利用者が大きく増えたことが、キャッシュレス市場の拡大に大きな影響を与えたと考えられています。
例えばAmazonやZOZOTOWNでの買い物時に、度々現金を振り込む手間を省くためクレジットカード登録をし利用する、などはよく見受けられますね。EC利用が増加することでキャッシュレス決済が進むのも頷けます。
政府の支援
日本でのキャッシュレス決済比率を向上させるために、政府が取り組みを行なっていることはご存知でしょうか。経済産業省のキャッシュレス推進室では、消費者へ利便性をもたらし、事業者の生産性を向上させるために、2025年までにキャッシュレス決済の比率を4割程度に、さらに将来的には世界でも最高水準の80%にまで引き上げる目標を掲げています。
これを達成するために政府は、様々な支援を行い始めました。例えば、キャッシュレス決済をした場合に限りポイントが還元されたり、割引価格で購入できたりする「キャッシュレス・消費者還元事業」などは、皆さんも馴染み深いのではないでしょうか。
スマホでの電子決済が充実
日本のキャッシュレス決済市場はまだまだ伸びしろがありますが、スマホの普及による電子決済の充実化はグングン進んでいるようです。例えばSuicaなどの交通系ICカード。ひと昔前まではICカードにチャージをするのが当たり前でした。しかし最近では、スマートフォンにSuicaをはじめとするICカードを読み込み、クレジットカードと連携させることで好きな時に好きなだけチャージができるようになっています。
他にもPayPayやLINEPay、メルペイや各種ウォレットサービス等、その種類はどんどん増えています。
クレジットカード業界の課題
クレジットカード業界の現状は上記のようになっていましたが、今後この業界はどのように成長していくのでしょうか。現時点で喫緊の課題について紹介いたします。
まだまだ日本のキャッシュレス比率は低い
日本のキャッシュレス決済比率は年々増加していますが、世界に比べるとまだまだ歩みは遅いようです。先述の通り、キャッシュレス市場規模は2018年度で65兆3,720億円ですが、同年度の個人消費市場は298兆2,480億円と推計されています。つまり、2018年度のキャッシュレス決済比率はおよそ21.9%、2割を少し超えるほどなのです。対して主要各国では40〜60%台。日本のキャッシュレス決済比率はまだまだ低いのです。
この原因としては、日本の治安の良さと加盟店手数料の高さが挙げられます。
①治安が良いため現金を持ち歩くことに抵抗がない
世界各国に比べ日本の治安が良いのは言うまでもありません。主要先進国においても、その犯罪率は日本の数倍であり、むやみやたらに多額の現金を持ち歩いていると恰好の餌食にされてしまいます。そのため海外ではセキュリティの強化されたキャッシュレス取引が主流となっているのです。
対して日本は、多額の現金を持ち歩いていても狙われることがほとんどありません。この差が日本と世界のキャッシュレス決済比率の差を生み出していると考えられるでしょう。
②加盟店手数料が高い
現在日本のクレジットカード加盟店の手数料は、およそ4〜6%となっています。これは世界標準に比べると1%ほど高く、中小店舗がクレジットカード対応に踏み込めない原因ともされています。
これに対し元経済産業大臣の世耕弘成氏は「日本でクレジットカードの導入が進まないのは、手数料負担が重いこともあった」と発言。加盟店手数料の高さが、日本のクレジットカード対応を遅くしてしまったのかもしれません。
カードの不正利用
クレジットカードの利用を向上させるために様々な取り組みがなされていますが、セキュリティ面の心配は絶えません。日本クレジットカード協会の調査によると、2017年のクレジットカード不正利用の被害額はおよそ236億円にものぼると言われています。今後キャッシュレス化を大きく進めたい日本にとっては、セキュリティの充実は喫緊の課題と言えるでしょう。
クレジットカード業界の今後の展望
ここまでで、クレジットカード業界およびキャッシュレス市場の過去と現状・課題を見てきましたが、クレジットカード業界は今後どのような動きを見せるのでしょうか。
キャッシュレス決済の推進が政府の思う通りに進めば、キャッシュレス利用環境は大きく整備され、それによる利便性向上や効率化などといったメリットが見込めます。さらに顧客情報のデータを利用することで購買につなげる戦略を新たな視点から生み出すこともできます。つまり、クレジットカード業界は今後伸ばしてゆくことのできる伸びしろを兼ね備えているのです。以下で詳しく見てみましょう。
クレジットカード発行枚数の増加
一般社団法人日本クレジットカード協会による調査書『クレジットカード発行枚数調査』によると、2018年3月末でのクレジットカード発行枚数は2億7,827万枚。これに対し2019年3月末での発行枚数は2億8,394万枚と2.0%ほど増加しています。2019年3月1日時点での日本の総人口推計値は1億2,622万人なので、国民一人当たりおよそ2.25枚のクレジットカードを持っている計算になります。
新しいクレジットカードを持つことによるメリットの提供なども相まって、今後も発行枚数は増加傾向が見られるでしょう。
一般社団法人日本クレジットカード協会『クレジットカード発行枚数調査』:
https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_03_a_all_171130.pdf
ビッグデータによるデータビジネスの展開
クレジットカード利用によるキャッシュレス決済が進むことで、顧客の情報はビックデータとして蓄積されていきます。クレジットカード各社は保有するこの膨大な決算データを用いて、より効率的な新しいビジネスモデルを立ち上げることができるのです。
例えばBtoBのビジネスとしては、加盟店での利用状況を元に新たな販促プランをコンサルティングすることができます。またBtoCのビジネスでは顧客のお金の出入りを管理し、抜けのない電子版の家計簿を提供できるでしょう。
それだけではありません。BtoG(対政府)のビジネスでは、顧客の購買行動を統計化し消費統計を作成することもできます。
ビッグデータの使い道は計り知れません。大きなビジネスポイントとなるでしょう。
東南アジアへの進出
日本発のクレジットカード会社で唯一国際ブランド化しているJCBは、さらなる海外発展を求めて東南アジア諸国への進出に挑んでいます。JCB公式サイトによると、ここ5年で海外カードの会員数は2倍以上に増加し、その数は3,018万人に達しているといいます。ASEAN諸国の銀行をターゲットの中心とし、新興国の経済成長とともに加盟店ネットワークを拡充させる仕組みです。
海外で働きたい就活生の方々はクレジットカード会社の海外進出にも目を光らせておくことが大切です。
まとめ
今回の記事ではクレジットカード業界の現状と課題について紹介しました。簡単に振り返りをしてみましょう。
- ・キャッシュレス決済比率は年々増加している
- ・だが、世界と比べるとまだまだ低い
- ・キャッシュレス化は今後も進展すると見込める
- ・ビッグデータの活用がカギ
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