【インタビューで見る業界研究】 人材業界の仕事内容とは?メガベンチャー・ネオキャリアが徹底講義!

CONTENTS

人材業界とは

人材業界が存在する意義

①日本の労働人口減少

②先進国としては最低水準の幸福度

人材業界の事業分類について

採用コンサルティング事業とは?

人材派遣のビジネスモデル

人材派遣の仕事内容

株式会社ネオキャリアの人材派遣

人材紹介のビジネスモデル

人材紹介の仕事内容

求人広告のビジネスモデル

求人広告の仕事内容

人材業界の今後はどうなっていくべき?

就活の中でも人気上位に位置する人材業界。しかし、その実態についてイメージできている就活生はどれほどいるのでしょうか。


この記事では、人材事業を幅広く手がけている株式会社ネオキャリアを例に、主要なビジネスモデルと仕事内容について紹介していきます。


特に人材業界の全体像や実態、仕事内容について知りたい人は必見です!今回人材業界についてご説明いただくのは、株式会社ネオキャリアで採用責任者を務める池田様です。


池田 亮
ネオキャリアグループ スタッフィング経営管理本部 採用部 部長

■2017年 株式会社ネオキャリア (アクサス株式会社へ出向)に入社。エンジニアリングサービスを主事業とするアクサスの採用部隊の立ち上げから参画し、エンジニア採用の拡張に従事

■年間20名程度の採用から年間300名以上の採用を安定化。その後ネオキャリアグループ内の人材派遣領域全体へ管掌範囲を拡大し、4法人700名規模の採用を管理。2名から14名まで部門も拡張

■現在は採用部責任者および人材派遣領域の広報を管掌し、会社の成長を"人"で実現するために邁進


人材業界とは

人材業界とは

人材(雇用創出)業界は、「自身の仕事(キャリア)を探す求職者」と「共に働く仲間を探す企業」を結び付けるサービスを提供する業界です。採用支援を通し、日本が抱える雇用問題の課題解決に貢献できる社会貢献性の高い業界です。


雇用創出を支援するサービスは、人材派遣・人材紹介(職業紹介)、求人情報提供サービス(求人広告等)が牽引しており、業界規模は直近20年で4倍以上に成長し、2019年には9兆円超となっております。


  • 人材派遣      : 7 兆 8,689 億円
  • 職業紹介      :   5,874 億円
  • 求人情報提供サービス:   7,669 億円


参照:リクルートワークス研究所『WORKS UNIVERSITY 日本の人材ビジネス

人材業界が存在する意義

人材業界の意義


細かい事業の内容についてお伝えする前に、まず社会における人材業界の存在意義や成長背景を知っていただきたいと思います。


人材業界を志望される方の多くは、「人(求職者や企業)に寄り添う」といった、“仕事をする個人”にとっての魅力や貢献に価値を見出されるかと思いますが、人材業界は“日本”にとって大事な存在意義を持っています。


それは『経済活動の活発化』です。

  1. 雇用創出による労働人口の最大化
  2. 仕事による幸福度向上


①日本の労働人口減少

人材業界における存在意義の1つ目が、雇用創出を通じた経済への貢献です。


日本の人口減少は皆様もご存知の通りかと思いますが、同時に労働力人口も減少しており、加えて少子高齢化により労働力人口割合も下がり続けているのが現在の日本です。少しでも多くの雇用を創出し、経済成長を止めないこと(≒豊かさを維持すること)は急務であり、社会への貢献にもつながるのです。


我々の住む日本は戦後大きく人口が増加し、それに伴い経済も成長していきました。しかし2004年をピークに人口は減少しはじめ、2021年のデータでは約84万人が生まれ、同時に145万人が亡くなっているため60万人以上減少しており、この減少数は年を追うごとに加速しています


このような人口全体の減少や少子高齢化の影響もあり、近年の労働人口は減少しています。経済は労働者が生み出すモノやサービスの支えが非常に大きい中、労働者が減少し、高齢化により経済支援を受ける人口割合が高くなると、労働者一人あたりの負担が大きくなり、やがては支えきれなくなるでしょう。


そんな日本に対して人材業界は、「一人でも多くの方が働いている世の中を創り、経済成長を促す」という切り口で社会を支援する重要なフィールドです。


実際に現在の日本には、働く意欲がありながらも、様々な背景で就業できていない人々が約190万人もいます。こういった方々も含めて、皆が活躍できるフィールドを見つけ出し、働く仲間を探す企業の雇用創出に貢献することが私たち人材業界に属する者の使命だと考えます。


参照:総務省『我が国における総人口の長期的推移
参照:日本総研『2021年の出生数・死亡数の見通し

②先進国としては最低水準の幸福度


もう1つの使命は、仕事を通して“幸福度”を高めていくことです。


日本は世界的に見て、今はまだ経済的に豊かな国であると言えます。物資にも恵まれ、仕事も大多数の方は自身で選べる(挑戦できる)環境にあります。本来であれば、強要ではなく自身で選択し取り組む仕事には、個人差はあれど「熱意」を持てるはず!ですが、驚くことに日本の『熱意ある社員』の割合は世界でも最下位クラスです。


さらに、国としての「幸福度」の客観的な評価は世界でも高い水準にあるにも関わらず、アンケート調査を基にした個人単位の主観的な「幸福度」は非常に低い結果となっているのが実態です。


この現状では、単に労働人口が増加したとしても、活気のない労働者が増えていくこととなり、多少の経済効果があったとしても、人々が幸福を感じられなければ持続的な効果には繋がらず、本当の意味で豊かな国にはなり得ません


幸福度や熱意をはかる指標はいくつかありますが、例えば日本で低いのは「人生選択の自由度」や「寛容度」。身の回りを見ても、ボランティアやチャリティーは海外と比べると一般的でなく、ジェンダーギャップ指標は世界でも下位層。属性で判断されがちな日本では、個々人の人生選択の自由は実現が難しいものになっているのかもしれません。


私たちが雇用のキューピッドとして、より多様な方々がより多様なフィールドで活躍する世の中を創っていくことで、様々な価値観や属性が交わり、視野が拡がり、選択の概念的拘束が解消され、自由で寛容な人生選択がかなう社会につなげていくことができます。


関わり合いが増えるほど、他人の喜びや幸福に触れたり、そこに自分の存在を感じる機会も増え、もっと多く関わりたいキモチが育ち、次への選択が主体的に拡がっていく。この自身で行う選択にこそ自由を感じられ、拡がるほど寛容な社会になっていき、他人の心に触れる機会が利他のキモチを育て、互いに「幸福度」を高め合える集団になっていけるはずです。


皆が幸福を感じ、周りの幸福を願って一生懸命「志事」に挑む、活気ある日本を人材業界から目指しています。


参照:日本経済新聞『「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査
参照:データのじかん『客観的には幸せなのに主観的には幸せじゃない?世界幸福度ランキングが明らかにした日本の今

人材業界の事業分類について



人材業界には大きくわけて2つの支援方法があります。それは直接支援と間接支援です。直接支援は企業と求職者の間を直接取り持ち、間接支援の場合は、媒体を用いて企業と求職者の接点を生みだします。


【直接支援】

人材派遣事業

企業と求職者を仕事でつなげる事業。雇用契約は派遣元企業と求職者の間で結ばれ、派遣元企業と派遣先企業の間は派遣契約を結び、求職者の就業後も雇用主としてサポートする。


人材紹介事業

企業と求職者を雇用でつなげる事業。エージェントと呼ばれることも多い。求職者が企業へ就職するまでをサポートする。


【間接支援】

求人広告事業

企業と求職者が出会うための媒体(メディア・イベント等)を通じて雇用創出のきっかけ創りを行なう事業。直接支援と異なり、マスの接点創出につなげられ、広く遠くまで情報を届けられる可能性が高まる。


採用コンサルティング事業とは?


上記事業以外にも「採用コンサルティング」と呼称される事業がありますが、採用代行・パートナーを担うサービスです。企業の採用担当者同様に、採用計画〜実行までのフローに関わり、企業内の業務代行や外部業者の管理など多岐にわたり支援します。


プロとして採用担当者の役割を担うため、採用支援事業のサービス理解は非常に大切になります。


人材派遣のビジネスモデル

人材派遣モデル図

人材派遣では人材派遣会社と求職者(無期雇用派遣の場合は派遣元企業社員)、そして派遣先となる法人顧客が登場します。求職者と法人顧客双方の希望に準じてマッチングを行い、求職者と人材派遣会社間で雇用契約、人材派遣会社と法人顧客間で労働者派遣契約を締結し、派遣就業がスタート。


派遣就業後に発生する派遣料金が人材派遣会社の売上となり、長期就業になれば累積し、大きな金額となっていきます。求職者にとっても長く働きたいと思える仕事や会社との縁は大切ですので、派遣就業がスタートしてからのサポートが非常に大切な事業となります。


人材派遣事業の市場規模はおよそ7兆8,689億円で、人材業界の約85%を締める大きな規模の事業となっています。


人材派遣の仕事内容

法人顧客に対する求職者の紹介、求職者に対する企業の紹介、就業決定後のサポートが大まかな仕事内容になります。


企業にもよりますが、双方により多くの情報を届けるために、法人顧客担当と求職者担当を分けている企業が多いです。


法人顧客担当は新規顧客の開拓と既存顧客の深耕営業を通して、派遣依頼の最大化および顧客理解に従事します。求職者にとって、少しでも多く仕事の選択肢があるほどキャリアが広がり、また会社のイメージができるほど就業後のギャップがなくなるため、法人顧客担当にとって多くの顧客接点、深い理解は大切なテーマです。実際に派遣就業がスタートして以降は、長いお付き合いになるよう求職者と法人顧客双方のサポートを行なっていきます。


求職者担当は求職者を集め、仕事探しを任せていただく関係構築がメイン業務となります。求人広告の出稿や派遣登録説明会等を通して求職者と接点を持ち、仕事の希望ヒアリングや提案を行い、就業決定まで伴走していきます。生活やキャリアに大きく関わる内容だからこそ、信頼がなければ任せてもらえません。そのためには相手目線で考え、対応することが重要です。


人と人をつなぎ、その後のサポートまで行うからこそ、近くで自身が関わった縁を見守れる喜びは他に変えられませんが、良いことも苦しいことも向き合い続ける大変さもあります。


株式会社ネオキャリアの人材派遣

仕事内容は上記と大きな違いはありませんが、現代の日本でエッセンシャルな業界である「IT」「介護」「建築」にそれぞれ特化した人材派遣事業を行っている点が最大の特徴です。


運営上の特徴としては、法人顧客や求職者の方々に対して、サポートを手厚くするための担当数管理があげられます。事業構造上でみれば、担当一人あたりが多くの顧客を担当できるほど生産性が高く、利益にもつながりますが、その分一人ひとりに使える時間が減り、対応の薄まりが起きえます。社員の負荷も高くなってしまいますので、担当企業数や派遣就業後のスタッフ管理数にある程度キャップをすることで、対応密度向上や負荷の低減に努めています。


若手社員も多く、習熟に時間がかかる仕事ですので、まだまだこれからではありますが、経営理念にも込めている“利他のキモチ”を体現したサービス、企業を目指して、一人ひとりに本気で向き合い、未来を切り拓くために歩んでいる道中です。


人材紹介のビジネスモデル

人材紹介モデル図


人材派遣事業と似たような構造に見えますが、大きな違いは雇用契約にあります。人材紹介事業は法人顧客と求職者の直接雇用を支援するサービスのため、人材派遣会社とは異なり、法人顧客が直接求職者を雇用します。よって、雇用が生まれるまでの間がサポート範囲になります。


雇用が決定し、入社を確認した時点で発生する人材紹介手数料が人材紹介会社の売上となるため、一人でも多くの方の雇用を生みだすことが会社にとっても顧客や求職者にとっても重要になります。


正規雇用の転職希望者は2021年度は466万人と、過去5年増加し続けている需要の高い市場で、人材紹介事業の市場規模は約5,874億円となっています。


人材紹介の仕事内容


法人顧客担当、求職者担当それぞれの仕事内容そのものは人材派遣事業と類似しますが、

  • 「就職」「転職」の支援である
  • 「就職」「転職」までのサポートである

上記が仕事の動き方での違いにつながっていきます。


「仕事・業務」ではなく「就職」「転職」を念頭にした仲介となるため、求職者のキャリアに対する影響は非常に大きなものとなります。長い縁につなげるためにも、事業や社風などの法人顧客理解、求職者のキャリアや人物理解にはより尽力する必要があります。


また就職までのサポートとなるため、人材派遣事業のような長期の伴走は難しく、短期間で関係構築を行っていかねばなりません。雇用決定で発生する人材紹介手数料が売上となる事業でもあるため、多くの求職者の雇用を生み出し続けていく価値と大変さがあります。


求人広告のビジネスモデル

求人広告モデル図

求人広告事業とは、求人広告・メディア・「就職」「転職」イベント等のサービスを用いて法人顧客の求人情報の拡散、イベント出展を通じた求職者接点創りなどを行ない、求職者の応募につなげていく事業です。求人広告・メディアによって対象業界や職種といった属性が異なるため、法人顧客にあわせたプランニングを行います。


求人広告には主に3種類のモデルがあります。


  1. 期間掲載型:一定期間の広告掲載・イベント出展等に対して定額のコストが発生
  2. 運用型:あらかじめ設定したコスト内で広告掲載を運用
  3. 成果報酬型:掲載中の効果(応募・採用決定等)によりコストが発生

求人広告の仕事内容


広告掲載の提案営業と広告制作、および制作に関わるディレクションが主な仕事内容になります。会社によって扱う求人広告・メディアが単体〜複数と様々なため、プランニングは多岐にわたります。また掲載効果に「確実」は存在しないため、法人顧客と予算・ターゲティング・競合分析・効果シミュレーション等を一緒に行いながら採用を支援します。


「広告」という見えない相手へメッセージを届ける商材のため、様々な仮説を立てながら求職者に響くような魅力的な文章やキービジュアル、構成を制作することも面白みのある仕事です。


人材業界の今後はどうなっていくべき?

人材業界の重要性を説く池田氏

事実として、『経済活動の担い手である労働力人口減少』×『高齢化により経済支援すべき人口割合上昇』が起きている中、今後の日本において、


  • 一人でも多くの雇用を創出
  • 利他のキモチが溢れる、熱意に満ちた労働市場を創出し、経済、そして働く人自身の心も生活も豊かに

は非常に重要なテーマです。


実現していくためには、個人の希望や幸福を考えるのではなく、日本全体と個人それぞれの幸福をリンクして考え、その未来に向けた選択や行動をする必要があります。その仲介人として、キューピッドとして “仕事” というフィールドからアプローチできるのが人材業界です。


ハードデータでつなぐマッチングではなく、ハートもつないで未来を創るために、心で雇用創出に取り組む業界であることを忘れずにいるべきだと思っています。


またIT技術の発展により、様々な仕事がAIに代替されたり、自動化されていきますので、生き残る「人にしかできない仕事」と、そこで活躍する人々を増やしていく雇用創出の担い手として、日本を支える業界でありたいと思います。


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JobSpringOnline編集長

井上 雄大

営業統括部マーケティング事業所属。JobSpring Online 編集長

外資系企業よりもHRテックベンチャーを選び、マーケターとして2019年に就職。

1年間で運営メディアのPV数を約10倍まで改善し新人MVPを受賞。

エージェントサービス「JobSpring」全体の集客を担いつつ、ライター指導やディレクションを行っている。

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