「志望動機が思いつかないのは当たり前」ネオキャリア採用担当が語る志望動機を考える方法

CONTENTS

そもそも志望動機は最初から思いつかないもの

第一志望かどうかと聞く企業も注意!?

「志望動機は生活のため」は成り立つのか?

志望動機を見つけるために必要なこと

どうすれば、面接官に志望動機は伝わるのか

伝わる志望動機の例

まとめ

早速企業にエントリーしてみたけど、提出するエントリーシートに書く志望動機が全く思いつかない…


そんな体験をした人はたくさんいるのではないでしょうか。今回は、面接官に響く志望動機を考える方法を、採用担当の目線からお伝えします


取材に応じていただいたのは、人材ITメガベンチャー・株式会社ネオキャリア、人材派遣領域の採用責任者です。人材事業を幅広く手がける「ネオキャリア」ならではの目線で、就活の必勝方法を伝授いたします!


<インタビュイープロフィール>
池田 亮(いけだ りょう)
ネオキャリアグループ 人材派遣領域 経営管理本部 採用部 統括責任者

■1989年福岡県生まれ。大学卒業後、2012年に技術者の派遣事業を行う株式会社アルプス技研に入社。技術者派遣の営業職として東京・神奈川・静岡で勤務。

■2016年に前職の求人広告業の株式会社キャリアデザインセンターに入社。求人広告・転職イベント等採用支援サービスの営業を経験

■2017年に現在の株式会社ネオキャリア (アクサス株式会社へ出向)に入社。アクサスの採用部隊の立ち上げから参画し、特にエンジニア採用の拡張に従事。年間20名程度の採用から年間300名以上の採用を安定化

■その後ネオキャリアグループ内の人材派遣領域全体へ管掌範囲を拡大し、4法人分の採用を管理。2名から18名まで部門も拡張。現在は採用部責任者として、会社の成長を"人"で実現するために邁進


そもそも志望動機は最初から思いつかないもの

悩む人


井上:採用担当としてはかなり斬新な意見のように感じますが、志望動機はすぐに思いつかなくても問題ないということでしょうか?


池田さん:そうです。学生も企業もお互いに出会ってもいない「はじめまして」の段階で、その企業だけに入社したい理由があること自体おかしいんですよね。恋愛で例えると、写真しか見たことのない初対面の人に「好きです」と告白するようなものです。


井上:確かに「志望するか(=付き合いたいか)」どうかは相手のことを良く知ってからですよね。となると、エントリーシートの段階で早々に志望動機を聞く企業側にも問題があるということでしょうか?


池田さん:「志望動機=当社に入社したい理由」と捉えるのであれば、企業側の問題もありますね。「志望動機=もっと当社を知りたい理由」として認識していれば良いですが、そうでないならば初対面の人に「私と付き合いたい理由は?」と言っているようなものですから。


井上:なんだか自意識過剰な感じがしますね。では、企業も学生も選考を通してお互いを良く知っていくことから始めるべきということですね?


池田さん:はい。まず面接や面談を通して、お互いに興味を持ったきっかけやもっと知りたい部分を話し合い、「どういう会社なのか」「どういう人なのか」を伝えあってはじめて、「好き」というキモチや「付き合いたい理由」が生まれていくものです。


とはいえ、海外と違って日本は志望動機を重要視している国です。「自分が実現したいこと、やりたいこと」と「その企業がしたいこと、できること」の重なる部分に「志望動機(=興味・きっかけ)」があるはずなので、そこを偽りなく伝えるのが良いかと思います。


井上:例えば「いろんなものづくりをできるエンジニアになりたいと思っているので、多数のメーカーと提携してものづくりに関われるエンジニアリング企業に応募した」という動機でも良いわけですね?


池田さん:そうですね。人それぞれ興味を持つきっかけは「顔」「趣味」「地元が一緒」など様々だと思いますが、その段階が選考でいう『エントリー』。実際に会って、デートを重ねる『面接・面談』のフェーズで、”この人とならこんな未来を一緒に迎えられそうだ”とお互いが見えてきて、初めて『志望動機(=この人と付き合いたい)』が確立されます。そして、一緒になったその歩みの先に自分の『夢(=あたたかい家庭を築きたい等)』がある。そんなイメージに近く、こう考えれば社会人一社目を見つけていきやすくもなっていきます。


第一志望かどうかと聞く企業も注意!?

井上:志望動機に関連して、「第一志望かどうか」の質問に悩まされる学生さんも多いようです。これに関してはどのように対処すべきでしょう?


池田さん:個人的な意見にはなりますが、順位の概念で「就職企業探し/学生探し(=恋人探し)」をするものではないと考えています。基本的に「付き合いたい」か「そうじゃない」かは比較論ではなく絶対論だと思いますので、今回の質問で言えば「入社したい」か「検討している」かで会話すべきものかと。そもそも志望する(=興味がある)という時点で「入社を考えている」ということなので、順位の概念にとらわれる必要はないと思います。


そもそも「第一志望かどうか」という考え方の時点で第二・第三志望もある前提であり、企業も学生もこういう思考の方が多いように感じますが、私としてはここに違和感があります。


例えば、みなさんが恋愛する時に「ナンバーワンだから付き合う」「オンリーワンだから付き合う」どっちで選ばれたいか、どっちの縁が長く続くと思うか、”人と人”で向き合っているのはどちらか、そう考えると、私からすれば一目瞭然で答えが出ていると思います。


井上:つまり第一志望かどうか聞いてくる企業というのは、「自分が好きかどうか<相手が他よりも自分を好きかどうか」を聞いてきているように見えるということでしょうか?


池田さん:恋愛に置き換えるとそうなりますね(笑)第一志望だから●●、第二志望だったら●●、というそれぞれの相手の動き次第で決める受け身な姿勢とは思ってしまいます。私たちの場合、「この人と歩みたい」と思ったら「どうやったら私と歩みたいと思ってくれるのか」という、【Toその人】だけの前のめりな考え方・進め方になるので、属性はかなり異なるかもしれません。


「志望動機は生活のため」は成り立つのか?

井上:先程の話とは若干異なるのですが、「志望動機はいわば『生活のため』『お金のため』なので、特定の企業である必要はない』と開き直る学生さんもいますがこういった動機は良いのでしょうか?


池田さん:結論からいうとなんの問題もないかと思います。ただ一方が稼ぎ場として企業を見るのであれば、もう一方も労働力として人を見る構図になるのは必然だと思いますので、お互いに「あなたとじゃないとダメ!」という関係になりにくいことは認識すべきです。


井上:需要と供給が合致していれば問題ない、ということですね。でも、そんな新卒を受け入れる企業はいったいどれくらいあるでしょうか…


池田さん:そう多くはないでしょうね。というのも、企業が新卒を雇用する理由は、会社を担う次世代(幹部候補)を育てたいからです。そうなると、理念に共感してくれて、想いをもって会社をけん引する存在を求めるようになります。


「生活のため」として企業選びをする新卒に対して、会社を担う役割を期待することは双方にとって将来的にギャップが生まれうるため、そのような人を採用する企業は総じて少なくなるというわけです。


井上:せっかく新卒で入社するのであれば、メリット・デメリットだけじゃなく会社の理念に共感して夢を持って働いてもらいたいですよね。


志望動機を見つけるために必要なこと

双眼鏡を持つ女性


井上:先程の話を整理すると、志望動機はだんだんと見つかるもので、その企業であるべき理由を確立していくのが良いということですね?


池田さん:その通りです。人同士なので完全に一致することはないですが、夢や目的、やりたいことや大切にしたい想いのベクトルが重なれば、お互いでなければならない理由が見えてきます。


井上:志望動機は「一緒に過ごしていく中で自然と見つかる」ということでしたが、具体的にはどのようなプロセスを経て志望動機を見つければ良いのでしょう?


池田さん:当たり前のことですが、まず自分自身をしっかり整理、その後はとにかくたくさんの情報を集める。興味をもつ人・企業が見つかったら、自分の中にイメージを持てるように空白のピースを埋めていくのが良いでしょう。今やインターネットを使って自ら大量で詳細な情報を得ることができる時代ですので、上手く活用しつつ相手と出会い、たくさんコミュニケーションをとっていってほしいですね。


井上:OB訪問や座談会など、頻繁に通うべきでしょうか?


池田さん:好みで良いと思います。相手のことを知るのに「どこを」「どんな風に」「誰から」知りたいかは人それぞれ異なりますので、「どうすべきか」よりも「どうしたいか」で動いた方が得られるものも多いです。周りに左右されすぎず、素の自分で歩んでいただきたいです。


井上:バランスが難しい…素の自分で歩むことが、入りたいと思える企業とマッチングできる最良の方法というわけですね。


どうすれば、面接官に志望動機は伝わるのか

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井上:志望動機を見つけることができたとして、それを面接官に上手く伝えるには、どのようなテクニックが必要でしょうか?


池田さん:伝える相手も人間ですので、「自分の伝えたいことが他人に伝わる」ために相手の立場になって考えることが基本であり、最も大切です。テクニックと呼べるかはわかりませんが、「本当に伝えたい内容に絞る」「他人に聞いてもらう」が効果的です。


井上:なるほど、それぞれ詳しく理由を教えてください。


池田さん:「本当に伝えたい内容に絞る」を推す背景として、人は伝えたいことが多いほど、またその熱が高いほど言葉が散らかり、相手に伝わりにくくなるからです。「あれもこれもどれも好き」と言われるよりも「これが好き」と言われた方が聞き手にはすっと届くものです。


もう一つの「他人に聞いてもらう」は”百聞は一見に如かず”と同義です。いくら脳内で完成させたとしても、実践で伝わらなければ意味がありませんので、とにかく試してみることが大切です。状況を知らない人や、まだ語彙の少ない若い人などを相手に、伝えきることができれば、誰にでも伝わる言葉になっていると思います。


伝わる志望動機の例

※池田さんのポイントをもとに、志望動機の具体例を提示していただきました。


私が貴社を志望する理由は、「●●●」という夢を、「●●●」というアプローチで叶えられると感じたからです。

夢のきっかけは高校生の頃、私の父は「●●したい」という想いのある人で、そのために●●をしていたのですが、●●の背景から●●となってその想いを叶えられずにいました。

私にとって大事な人なので、その状況をなんとか打破したいと私なりに●●していく中、●●を試してみたときに、父が●●を動かせるようになって●●まで繋がりました。その光景に感動したことがきっかけで、「●●●とすることで●●●な世界にしたい」と思い、●●●をするようになりました。

社会人になるにあたり、この夢は「●●●」を大切にすることを共有でき、そこに向かう仲間がいる環境で私が●●●を担って走れば叶うと考え、そんな企業との出会いを探し始めました。

そんな中で貴社と出会い、言葉こそ違いますが「●●●」を夢にもって「●●●」を大切にされていること、その想いを仲間同士で●●●しながら共有し、●●●からアプローチされているところに、共感をしたと共に「そんな方法もあるのだ」と感銘を受けました。

ここであれば私の夢も●●●を通して叶えられ、私の培ってきた●●が貴社にとっても●●●になると感じており、他の場所にはない魅力に惹かれています。


まとめ



井上:ここまでたくさんのアドバイスをいただいたので、まずはまとめてみましょう。


・志望動機は”作る”ものでなく”思う”もの、理解を深めなければ生まれない
・比較論ではなく絶対論で決める方が長く続く良縁になる
・伝える力を高めるには「絞る」「対人実践」


井上:これらのほかに就活生に伝えたいメッセージはありますか?


池田さん:自分の思っていること、やりたいことをメッセージする上で注意してほしいことは、具体性を持たせるということです。


井上:例えばどんな具体例がありますか?


池田さん:例えば、「人と関わる仕事がしたい」という言葉を就活生の方から良く聞くのですが、世の中で「人と関わらない仕事」はほとんど存在しないので、その言葉だけでは極端にいうと「私は日本人です!」と言われているのと変わらない内容になります。


それに「どういう関わり方をしたい」「なぜそういう形で関わりたい」「関わってどうしていきたい」といった具体性が加われば、聞き手もイメージができ、”その人ならでは”のオリジナリティも生まれてきます。


井上:具体性がないと、せっかく自分のことを伝えるチャンスなのにもったいないですね(笑)


自己PRでも同様に「行動力があります」というアピールがあったりしますが、これも具体性をもたせることが重要ということですね?


池田さん:その通りです。そもそも「〇〇力」という言葉自体曖昧なものなので。


せめて「どういった場合にどのようなことができるから行動力がある」など、背景や具体性が見えれば相手も理解しやすいと思います。


井上:これもやはり対人実践あるのみ、ですね。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!


池田さん:ありがとうございました!

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JobSpringOnline編集長

井上 雄大

営業統括部マーケティング事業所属。JobSpring Online 編集長

外資系企業よりもHRテックベンチャーを選び、マーケターとして2019年に就職。

1年間で運営メディアのPV数を約10倍まで改善し新人MVPを受賞。

エージェントサービス「JobSpring」全体の集客を担いつつ、ライター指導やディレクションを行っている。

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