生活基盤を支える!エネルギー業界の特徴と今後の動向について解説

CONTENTS

エネルギー業界ってそもそもなに?

各エネルギーの特徴

①電力

②ガス

③水素

④石油

エネルギー業界での主な仕事

①探鉱・開発

②輸送

③加工・流通

エネルギー業界の動向

①電力

②ガス

③水素

④石油

エネルギー業界に向いている人は?

まとめ

「電気」「ガス」「石油」。これら私達が生きていく上で欠かすことのできないエネルギーを作る、 「エネルギー業界」に興味のある就活生の方は多いのではないでしょうか?


人々の生活になくてはならないものを扱っていることから、 「安定」を求めて志望する学生から長年人気を集めてきた「エネルギー業界」ですが、 近年大きく変化してきていることをご存知ですか?


今回はそんなエネルギー業界の全容と「今後の動向」そして「適正」について紹介します。


エネルギー業界ってそもそもなに?


  「エネルギー業界」とは主に「電力」「ガス」「石油」、これら3つのエネルギーを扱う企業群のことを指します。


エネルギー業界全体の業界規模は約45兆円に登り、国内最大級の業界規模になります。人々の生活に欠かすことのできないエネルギーを扱うのでその業界規模も納得がいきます。


ちなみに分野別の内訳では、電力20兆円、石油20兆円、ガス4兆円となっています。


また、近年は水素エネルギーという新しいエネルギーも登場し業界に大きな影響を与えています。本記事では水素エネルギーについても解説していきます。


各エネルギーの特徴


①電力

電力会社が扱う電力エネルギーにはいくつか種類があります。

【火力】

火力エネルギーは、石油や石炭、天然ガスなどの燃料を燃やすことで高温の蒸気を作りだし、そのエネルギーで蒸気タービンを回転させ発電する火力発電によって生み出されたエネルギーのことです。


火力エネルギーは日本の電力の8割以上を締めています。近年では化石燃料の採掘量の減少や排出される二酸化炭素(CO2)による環境負荷などが問題視されています。


【原子力】

原子力発電は蒸気を生み出しそのエネルギーを利用し発電するという点では火力発電と変わりません。蒸気エネルギーを生み出す際に化石燃料を利用するかウラン燃料を利用するか、この点が火力発電と原子力発電の大きな違いです。


原子力エネルギーは発電段階においてCO2を全く排出せず、またウラン燃料はエネルギー密度が高いことから大量の電力を安定して供給することができます。


これらの点から原子力エネルギーはエネルギー資源小国における日本で火力エネルギーに代わる新しいエネルギーとして大きく期待されています。その反面、発電段階における放射線の管理という大きな問題も存在しています。


【再生可能エネルギー(太陽光・水力・地熱・風力・バイオマス)】

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力とった自然界に常に存在するエネルギーのことです。


地球由来のエネルギーであることから、枯渇することがなく、CO2などの有害物質を排出することのない現在最も注目されているエネルギーです。


しかし発電電力量あたりの建設費が高い、自然状況に左右される、などの理由により安定して大量のエネルギーを作ることが難しくまだまだ課題が残っています。


②ガス

ガス会社が扱うガスエネルギーには大きく分けて2種類あります。


ひとつは、製造所で製造したガスをガス導管を通じて各家庭へ供給する都市ガス。もうひとつは、ボンベに入っているLP(プロパン)ガスです。


都市ガスはその中でもさらに、メタンを主成分にした天然ガスとプロパンやブタンを主成分にした可燃性ガスの2つに大別されます。


天然ガスは不純物をほとんど含んでおらず、酸性雨の原因とされる硫黄酸化物や煤塵をほとんど発生させない上、二酸化炭素の排出量も石炭や石油などの化石燃料と比べて少なく地球に優しいエネルギーです。そのため、近年は天然ガスを冷却して液体にした「LNG(Liquefied Natural Gas)」、日本語では「液化天然ガス」の需要がアジアにおいて高まっており、昨年10月に日本企業による大型LNG開発プロジェクトがついに生産・出荷を開始するなど日本でも大きな動きがありました。


ちなみに日本は世界最大のLNG消費国であり、日々の生活や企業活動を支えているLNGはなくてはならない存在となっています。


③水素

続いて水素会社で扱われる水素エネルギーについて解説していきます。水素エネルギーとはその名の通り水素を利用して生み出されるエネルギーの総称のことであり、新エネルギーとして高い注目を集めています。


水素エネルギーはさまざまな資源からつくることができるという特徴を持っています。


一般的に電気と水を反応させて取り出す方法が最も主流とされていますが、実は石油や天然ガスなどの化石燃料からも生成することができ、またメタノールやエタノールなどの工業用アルコールからひいては汚泥や廃プラスチックなどの本来なら廃棄されてしまうような物質からも生成することができます。また生み出された水素エネルギーを利用してもCO2を排出しないという特徴もあります。


水素は、酸素と結びつけることで発電したり、燃焼させて熱エネルギーとして利用することができますが、その際、CO2の排出は行われません。


以上のことから水素エネルギーは今後日本における「究極のエネルギー源」になるのではないかと言われています。


④石油

石油エネルギーの特徴はなんと行っても用途の多様さにあります。


自動車などの燃料としてのガソリンや、暖房用の灯油、工場でボイラー関係の燃料として使われるA重油、機械装置の潤滑油などのほか、石油化学製品の原材料にも利用され発電部門においても、火力発電の燃料として使われているなど、その用途は多岐にわたります。私達の生活、産業を最も多方面から支えているエネルギーといえるでしょう。


また、電気やガスなどのエネルギーとは異なり、可搬性・貯蔵性に優れた石油は、あらゆる場所に運び届けることが可能なエネルギーであり、震災時などの有事の際にも非常に重宝されます。


エネルギー業界での主な仕事


エネルギー業界は、私たちの生活に行き届くまでに大きく分けて3つのパートを経ています。


①探鉱・開発

エネルギー供給の第一段階である探鉱・開発のパートは石油・天然ガス開発会社が担います。


まず石油や天然ガスといった地下資源は産油国や土地の所有者に権利が帰属します。そのため、まず発見・採取するための権利を取得するところから始まり、実際に探鉱・開発をしていきます。


十分な量が発見されれば処理施設やパイプラインなどが整備されて開発の段階に移っていきます。


②輸送

探鉱・開発の次は海運会社や電力会社、都市ガス会社、石油元売り会社が担う輸送のパートです。


どの会社が輸送を担うのかは石油やガスの性質や状態、それからどこへ輸送するか・輸送距離はどれくらいかなどの条件によって決まり、適切な手段で輸送されます。


③加工・流通

石油や天然ガスは用途に合わせて、石油の元売り会社や都市ガス会社、電力会社といった様々な会社に供給され、加工されて社会に流通します。


各フェーズの中で最も人気が高いのが加工・流通フェーズです。


このフェーズでは、企業や家庭へのエネルギーの訪問販売の営業や新しいエネルギープランの企画開発など具体的に働くイメージが持やすいことから「安定」志望理由にしている学生から人気が高いのです。


エネルギー業界の動向


今後のエネルギー業界は課題が山積みといって差し支えないでしょう。就職活動でエネルギー業界を志望している人は以下の点について注目しておく必要があります。


①電力

電力会社は、かつては「公益事業」として特定の企業が一定の地域の配電権利を独占し利益を得る地域独占型をとっていました。そのため、企業間の競争が活発ではなくリスクが少なく安定した業界であったと言えるでしょう。


しかし、2016年4月からスタートした「電力小売全面自由化」を受けて、さまざまな電力会社が自由に電気を売ることができるようになり、電力業界も市場競争の波に晒されるようになりました。自由化によってかなりの数の電力小売企業が新たに電力業界に参入し、現在ではその数は500社に登ると言われています。


とはいえ、競争が激化し一見利益が各社に分散したように見えますが実際は今まで電力業界で大手と呼ばれていた旧来の電力会社の優位は現在でも変わっていません。なぜなら、電力の市場価格の高騰化により自社で発電所を持っている旧来の電力会社の方が圧倒的に有利に電力の供給が行える為です。


今後の電力業界全体としての展望はあまり好調とは呼べる状態ではありません。現在日本では再生可能エネルギーの導入が進んでおり、再生可能エネルギーを普及させるため2012年に長期に電力会社が再生可能エネルギーの電気を決まった価格で買う「固定価格買取制度」も導入されました。


今後ますます再生可能エネルギーが増加していくことが予想されますが、上述したように再生可能エネルギーは「枯渇することがない」「環境汚染物質を排出しない」などのメリットがある反面「発電電力量あたりの建設費が高い」「自然状況に左右される」などの理由により安定して大量のエネルギーを供給することが難しい為電力会社にとっては利益を出しづらいのです。


さらに、国民の省エネ意識の浸透により「無駄な電気を使わない」という考えが普遍的になってきており、ますます電力業界は利益を出しづらくなってきています。そのため今後電力会社各社は今までより差別化を求められると同時に業界としても構造の再編を求められるようになるでしょう。


②ガス

ガス業界も電力業界と同じく自由化が導入された業界の一つです。2017年4月まで、一般家庭に都市ガスを供給する際には、東京ガスや大阪ガスをはじめとする国の認可を得た都市ガス会社が、ガス供給を行っていました。


しかし、「改正ガス事業法」によって2017年4月に都市ガスの小売事業が自由化され、電力業界と同じくガス業界でも各企業による価格競争が起き、各社差別化を求められるようになりました。


業界全体としては、福島原発事故をきっかけに現在日本中で原子力発電所停止の動きが起きており、その代わりに火力発電への需要が高まると同時にその燃料とされるガス需要も高まっています。そのため、近年ガス業界としての業績はかなり好調であり今後数年はこの流れが続いていくと予想されます。しかし、オール電化導入世帯の増加や、エネルギー業界全体として国内の口減少の流れが起きており今後ガス需要は下がっていくのではないかと予想されています。


③水素

水素業界の市場規模は今後拡大し続けると予想さてれおり、その市場規模は国内では2030年に 1兆円程度、2050年に8兆円程度であると言われています。


水素エネルギーはまだまだコストがかかり、経済性に問題があります。また安全や安心という社会の受容性もまだまだです。インフラ整備もこれからで、社会に浸透するエネルギーになるためにはさらに数年を要すると予想されます。


そのため水素業界は現在はまだまだ課題の残された状態といえます。しかしそれら問題点も技術の発展に伴い解消さてれいく為業界としては上述したとおりその規模を拡大していくでしょう。


④石油

石油業界の業界規模は、平成22年以降、順調に業界規模を拡大させており、好調な印象を受ける推移を行なっています。


しかし、その裏側で消防法の改正や人口減少、輸送機器の燃料性能向上などもあり中小企業などは廃業に追い込まれており、現在生き残っているのは、経営力のある大手企業ばかりです。さらに今後はガソリンをはじめとする燃料油の需要は長期的な減少傾向にあると予想されています。


燃料油の販売数量は2009年度に2億klを下回った後も減少傾向にあり、2015年度には1.8億klに落ち込んでいます。


東日本大地震以降、原子力発電所の停止を受けて火力発電設備の需要は高まっていますが、電源としての石油の構成比率も大幅な低下が見込まれており、今後も石油需要の減少は続くと考えられています。


エネルギー業界に向いている人は?


エネルギー業界今後の展望から、もはやエネルギー業界は「安定」「長く働ける」などの今までどおりのイメージとはかけ離れていることがわかっていただけたかと思います。

ではどのような人あエネルギー業界が向いているのでしょうか。


  • ・縁の下の力持ちとして人々の生活を支えたいと考えている
  • ・気づきにくい価値に着目できる視点を持っている
  • ・新しいエネルギーを発展させる柔軟な思考の持ち主

エネルギー業界は長年、私たちの暮らしに欠かせないエネルギーを安定的に供給することで、発展を続けています。しかし、もはや当たり前のように私たちの日常に溶け込んでおり、多くの人は「エネルギー」というものについて改めて考える機会がないものです。


だからこそ、目立たない場所でも人々の暮らしを支えていくことに喜びを見い出せるかどうかが、エネルギー業界でやりがいをもって働けるかどうかのポイントになります。


まとめ


私たちの生活になくてはならないエネルギー業界について解説しました。


上述したとおり、エネルギー業界全体において国内での人口減少という大きな問題を抱えておりエネルギー需要は下がっていくことが予想されています。更に再生可能エネルギーなどの新しいエネルギーの台頭もあり電力、ガス、石油各社は後厳しい状況が予想されます。


一方で水素ネルギーは今後かなりの業界規模の拡大が予想さています。しかし現状多くの問題があることも紛れもない事実であることから決して安定しているとは言い難いでしょう。今後の課題が山積みではあるものの、エネルギー業界は決して無くなることのない業界です。


もしもエネルギー業界に就職を希望しているがどうしたらいいのかわからない、またまだ自分の志望する業界がわからないという方は一度就職活動のプロに相談してみてはいかがでしょうか。


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編集者

JobSpring Online編集部

後悔のない就活を応援するメディア「JobSpring Online」のメディア編集チーム。

構成メンバー: コンサルタント、人材業界マーケター、学生ライター、etc.

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