【新卒:業界研究】鉄道業界とは?現状から業界ランキング、今後の展望まで紹介

CONTENTS

鉄道業界とは?

鉄道業界の仕組み

運賃収入が大きな収入源

鉄道事業の他にも多彩な事業を展開

鉄道業界の現状

「コロナ前」までは順調に推移

新型コロナウイルスの影響は?

鉄道業界の主要5社を売上高ランキングで紹介

JR東日本

JR東海

JR西日本

近鉄グループホールディングス

東京急行電鉄(東急)

鉄道業界の今後の展望は?

まとめ

  • 「鉄道業界って魅力的!だけどその内情についてはあまりよく知らないな…」
  • 「コロナウイルスの影響で鉄道業界は大きな打撃を受けたらしいけど、実際はどうなんだろう?」

鉄道業界は就活生の間でもかなりの人気を誇る就職先です。業界規模ランキングでも136業界中22位を記録しており安定した就職先とされてきました。


ですが2020年、新型コロナウイルスの蔓延により大打撃を受けることとなります。これは鉄道業界の売り上げに大きく影響し、今後の展望を読みづらくしてしまいました。


今回の記事ではそんな鉄道業界について、ビジネスモデルや業界の現状、さらには今後の展望をご紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください!


鉄道業界とは?



鉄道業界とはその名の通り、鉄道の運行を主たる仕事とする業界です。ひとことに鉄道業界とまとめても、その種類は経営母体によりいくつかに分けられます。旧国鉄として知られる「JRグループ」や民間の企業が運営を行う「私鉄」、地方自治体が取り仕切る「公営鉄道」、さらには国や地方自治体と民間企業が共同出資をする「第三セクター鉄道」を押さえておきましょう。


鉄道業界だからといって、鉄道の運行だけを仕事としている訳ではありません。たしかに鉄道業界と聞くと運転手や車掌といった職種を思い浮かべがちですが、大きな企業であればあるほど営業職や企画職なども充実しています。


鉄道業界の仕組み



鉄道業界の商材は、もはやインフラ化していますが、どのように収益を上げているのでしょうか。そのビジネスモデルについてご紹介します。


運賃収入が大きな収入源

鉄道運行が主たる仕事であるので、やはり収入の大半を占めるのは運賃収入です。例えばJR西日本では、2019年度の営業利益のうち運賃収入の占める割合は61.9%。またその運賃収入のおよそ50%を新幹線での収入が占めています。


同業他社でもこの傾向は同様に見られます。東京メトロとして有名な東京地下鉄株式会社では、営業収益のうち88.6%が運輸業による収益です。


運賃収入が鉄道業界の経営を大きく支えているのです。


鉄道事業の他にも多彩な事業を展開

とはいえ、鉄道業界は鉄道の運行だけを仕事としている訳ではありません。鉄道事業以外にも多彩な事業を展開しているのです。


特に不動産業やレジャー事業に力を入れている企業が多い傾向にあります。例えば渋谷駅周辺を開発している東急(東京急行電鉄)や、京王グループによる駅ビルの開発などは想像しやすいのではないでしょうか?


これらの不動産業やレジャー事業はそれ単体でも事業として十分に成り立ちますが、鉄道事業と結びつけて行う目的があるのです。つまり、主要駅に施設を新設することで鉄道利用者が増え本業である鉄道事業にも好影響が及ぶ、という仕組みです。


最近では駅ビルの新設のみならず、街全体を巻き込んだまちづくりにも参画している企業が増えています。JR東日本グループのatreなどはその好例でしょう。


鉄道業界の現状



ここからは鉄道業界の現状と課題に目を向けていきます。新型コロナウイルスによる影響を強く受けている業界ですから、コロナ蔓延前後での視点で分析していきましょう。


「コロナ前」までは順調に推移

鉄道業界は、「コロナ前」までは非常に安定していた業界です。国土交通省の発表によると、2018年度の鉄道利用者の総数は日本全体で252億6900万人で、毎年増加を見せ続けています。これは開催予定であった2020年東京オリンピックに向けて、海外からの観光客が年々増加していたことに関係しています。


市場規模もかなり大きめで、2019年の報告で15.9兆円となっています。136業界中22位と有力な業界の1つです。


新型コロナウイルスの影響は?

鉄道業界はコロナウイルスによる影響をとても強く受けています。自粛要請により外出が控えられたため、鉄道業界を支える運賃収入が大幅に減少したのです。


JR東日本を例にとると、2019年4月から6月までの売上高が7,423億8,200万円であったのに対し、2020年4月から6月までの売上高は3,329億4,600万円と大幅に減少しています。


コロナ前までは順調に推移していた鉄道業界も、新型コロナウイルスにより大打撃を受けているのです。


鉄道業界の主要5社を売上高ランキングで紹介



ここで、鉄道業界を牽引する主要な企業をおさえておきましょう。売上高ランキングで上位5位をご紹介します。ぜひ業界研究や企業研究に役立ててくださいね!


JR東日本

JR東日本は旧国鉄で首都圏を中心とした鉄道網を張る、鉄道業界において主要な企業の一つです。2020年度3月期の売上高は2兆9,466億3,900万円を記録していますが、上述のように2021年度では大きく減少することが予測されます。2021年3月期予想(2020年4月から2021年3月までの1年間で、グループ全体がどれだけの売上高を出すかに関する予想)では1兆9,300億円との報告です。従業員数は51,560人と業界内でも最多を誇ります。


日常的に広く利用されることにより培った「信頼」を強みに、ヒト・モノ・カネ・情報を流通・蓄積している点が特徴的。これにより幅広く事業にも手を出すことができ、まちづくりや線路の高架と高架下の観光地化などに注力しています。


参考:「採用情報|JR東日本」https://www.jreast.co.jp/recruit/new-graduate/

JR東海

JR東海は東海旅客鉄道株式会社を正式名称とするJRグループの企業です。2020年3月期の売上高は連結で1兆8446億4700万円となっており、業界2位を記録しています。従業員数は2020年3月31日時点で29,603人(連結)です。2021年3月期の予想では8,630億円との報告です。


海外への事業展開も行っており、高速鉄道に関する総合的かつ専門的な技術を生かしてコンサルティング事業にも注力しています。ワシントンD.C.とニューヨーク間を結ぶ北東回廊プロジェクトや、ダラスとヒューストン間を結ぶテキサスプロジェクトなどがその主な例です。


参考:「採用・セミナー情報|東海旅客鉄道株式会社」https://saiyo.jr-central.co.jp/data/

JR西日本

JR西日本は旧国鉄で日本西部を中心とした鉄道網を張る主要な鉄道企業です。2020年3月期の売上高は1兆5,082億100万円を記録しています。従業員数は2020年3月31日時点で48,300人(連結)です。


やはりコロナウイルスの影響を大きく受けており、2021年3月期通期連結業績予想は9,200億円としております。およそ6,000億円の低下です。


この企業では鉄道事業の他に大規模なショッピング事業やホテル事業、不動産事業を行っています。特に新幹線の主要各駅(京都駅や大阪駅、金沢駅など)では観光地としての側面に着目し土産物販のショッピングスペースを広く提供している点が特徴的です。toC企業の中でも顧客との距離が比較的近い企業として親しまれています。


参考:「採用情報:JR西日本」https://www.westjr.co.jp/company/recruit/

近鉄グループホールディングス

近鉄グループホールディングス株式会社は鉄道業界で売り上げ4位を記録する主要な鉄道企業です。2020年3月期の連結売上高は1兆1,942億4,000万円ですが、こちらも例に漏れず2021年3月期の予想では7,540億円と報告されています。従業員数は2020年3月時点で30,491人(連結)との報告です。


旧国鉄のJRグループを除いた鉄道企業の中ではトップの成績を誇る近鉄グループホールディングスですが、民間鉄道会社の中では最も長い路線距離をもっている点も特徴です。運輸事業や不動産事業のほか、旅行事業にも注力しており観光活性と運輸事業との結び付けも盛んに行われています。


参考:「近鉄グループ採用情報」https://www.kintetsu-g-hd.co.jp/recruit/

東京急行電鉄(東急)

東京急行電鉄は業界5位の売上高を誇る東京を中心とした鉄道企業です。2019年9月2日より社名を東急電鉄株式会社(または東急株式会社)に改名しました。売上高は2020年3月期で1兆1,462億円ですが、2021年3月期の予想では9,400億円まで落ち込む見込みです。ここまでの予想が全てその通りに当たれば、東急電鉄はJR東海を凌駕し業界2位まで上ります。


東急電鉄は「すべての駅に、安心を。」をスローガンに掲げ、東急線の全線にホームドアを設置しています。これは令和2年度のバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表象にて、内閣総理大臣表彰を受賞しました。これにより転落事故の件数が大幅に減少しているのです。


この他にも渋谷駅周辺開発プロジェクトと称した大規模な都市開発に着手しており、今後のさらなる成長が期待できそうです。


参考:「採用情報|東急株式会社」https://www.tokyu.co.jp/company/recruit/

鉄道業界の今後の展望は?



一時は飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を見せた鉄道業界ですが、今後はどのような動きを見せるのでしょうか。


上述のように、鉄道業界はコロナウイルスの蔓延による影響を大きく受けています。人の移動が控えられたことにより、収益の大半を占める運賃収入が大幅に減ってしまったのです。


それに加え、今後コロナが落ち着いたとしても運賃収入は以前の水準に戻るだけですので、成長を見込める分野ではありません。鉄道業界が継続的な成長を遂げるためには、鉄道事業だけに固執していてはならないのです。


そのため今後の鉄道業界は、不動産業やまちづくりなどといった鉄道事業以外の事業によりたくさん力を注いでいく必要があるといえます。観光業界との横断的な協働や、投資家を惹きつけるような地域社会の活性化事業が今後の動向として見られるでしょう。


まとめ



今回の記事では、鉄道業界の現状と業界ランキング、今後の展望についてご紹介いたしました。簡単に全体を振り返ってみましょう。


・鉄道業界の主な収入源は運賃収入であるが、今後の展望を見据えると他事業への注力が必須。
・コロナ前までは順調に推移していたが、コロナ後には伸び悩みを見せる。2021年3月期の売上予想はどの企業もおよそ半分程度。
・業界内での企業ランキングは上位をJR系列がさらっているが、コロナ後には逆転の可能性も。
・今後業界全体を成長させていくためには、観光業界との横断的な共同などが欠かせない。


コロナウイルスの蔓延は止まるところを知りません。今後この影響が長引くようであれば、鉄道業界はさらなるダメージを受けることとなるでしょう。もちろんこれらの企業も黙って見過ごしているわけではありませんから、新たな動きや新規事業の開拓などをどんどん見せることが予想されます。今後の動きにも注目です。


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編集者

JobSpring Online編集部

後悔のない就活を応援するメディア「JobSpring Online」のメディア編集チーム。

構成メンバー: コンサルタント、人材業界マーケター、学生ライター、etc.

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